2009年5月24日日曜日

【映画】『南京!南京!』~上海日本人向け上映会~

南京大虐殺を題材にした中国人監督陸川監督http://www.c-c-club.net/director/luchan.htmにより制作された中国映画「南京!南京!」http://j.people.com.cn/94478/96695/6642806.htmlの日本人向け上映会に参加してきた。

1937年12月の日本軍による南京侵略から始まる2時間20分の作品は、中国人捕虜の大量殺害、従軍慰安婦の強制徴用などの生々しい歴史を中心に、最後は生きていくのは死んでいくより難しいと感じた主演の日本兵が捕虜を逃がし自殺し、生かされた中国人は自由を手に入れ微笑んで歩いていく風景が描かれていた。

上映後知り合いの留学生が大きな問題すぎて感想はまだ口に出せない。と言っていたが、正直自分も映画を見終えてすぐはその意見に同感で、陸川監督との対談では終始他の観衆が陸川監督に向ける質問を聴くことしかできなかった。無理して感想を口にできるような簡単問題じゃないが、自分なりの見解を持っておくべき内容だと思うのでブログに書いていく。

映画の中で次々と命を奪い奪われていくシーンから、生きる喜び、生きる悲しみ、死ぬ悲しみ、中国人が日本人に悪いイメージを抱く理由、戦争の悲惨さ、約70年前の1937年と比べ比べものにならないくらい平和な中国で自分は今生活していること、死ぬより生きることの方が難しいかもしれないこと、など改めて考えされてくれた。

中でも戦争の悲惨さについて改めて認識することができた。人類における最大の競争は戦争であり、皮肉な結果ではあるが科学は戦争の度に飛躍的に発展してきている。しかし同時に多くの犠牲者を出す戦争は人類最大の敵だと言えるだろう。

陸川監督もウェブ上のインタビューで「戦争がいかに人の魂をコントロールするかということ。戦争が起こる前には必ず文化によって戦争の執行者への洗脳が行われる。精神の絶対的なコントロールと占領こそが戦争の本質です。戦争の核心的結果は、異なる民族の文化を被侵略者の廃墟の上で踊らせることです。」と語っている。

この戦争という過去から、僕たち世代は人間の究極の目標は無限の発展ではなくて限りなく平等に近い形での人類の共存であることを認識すべきだ。他人の敗北ありきの勝利ではなく、皆が負けない、個人、国家を越えて世界的なスケールで人類の幸福を追求することが最大の命題だろう。

最後に、日本兵を美化しすぎではないか。日本では上映禁止になるのではないか。などという日本、中国からの批判の声が予想されるなか、当作品を4年間かけて作り上げ正々堂々と世の中で表現している陸川監督に敬意を表したい。

また、当企画を「中国、中国人に対する理解を深める一助にしたい」想いで実行に移した上海の大学に留学している学生の皆さんに感謝だ。中国で南京大虐殺という非常に敏感なテーマで数百名を集めて企画を実行するには相当な勇気と実行力、計画力、団結力が必要だったと思う。この上映会のおかげで、自分も二次情報ではなく、一次情報としてこの作品を見る機会を与えてもらえた。自分の目でこの作品を見れ、考える機会ができて本当によかった。

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