2008年12月16日火曜日

名言

『師は又、画に就いても一種の見方を持っておられた。「俗な画が好きな奴は俗なやつだ。この画の俗さは見ていて胸がわるくなる」「この浅薄な甘さ、はきたくなる」「この何もないくせに、ありそうに見せようとするもがき方」しかしいいものを見ると随分感心された。「さすがに一生を画に捧げた男のかいたものだ。俗なところが少しもない。まじりっけがない。こっちの心にじかにふれる。こうならなければ本当ではない。不思議に人の心を清め、生々させる。そして万物にたいする愛を深める。美と云うものは不思議なものだ。美を意識でつくり出そうと思うものは馬鹿だ。美を感じるのはその人の心の深さに比例する。多くの人は美をかこうと思って綺麗ごとをする。しかし其処に心ない、人間の浅薄さが露骨に見える。本当の美のわかるものは、無限の深さに触れる。~」』【『幸福者』武者小路実篤 P57より】

この文章を読んで、本当の美を心から体感できるようになるには、日々の積み重ねが大切なのだと思った。
音楽、文学、絵画、書道、茶道など、商売、職業、金銭、人間のまやかしに惑わされることなく本当のものを選んでいきたい。

2008年12月8日月曜日

レッドクリフ (赤壁)

上海から広島に帰り、日曜日父親とレッドクリフを見にいくことにした。父は三国志大好きでさらにここ数年中国語学習続けており中国にも興味を持っている。自分が三国志に最初に興味を持ったのも、大学生のころ父にもらった文庫本の三国志からだった。

日本では『レッドクリフ』というタイトルだが、本場中国では『赤壁』というタイトルで2か月前に放映されており、中国語で映画を見ることは少ないが、総製作費100億円のジョンウー監督の大作ということで見に行った。言葉は一部分からない所はあったがダイナミックな映像とストーリーに魅了された。日本に帰ったら改めて翻訳ありで見てみたいと思っていた。

これまで父と映画に行ったことは無かったが父と自分は中国が共通点の一つで、お互いこれは絶対見たい!という一作なので初めて一緒に行くことになった。「(今ではガラガラだけど)昔はあの映画館は人でいっぱいだったけど、テレビやネット、他の娯楽ができてどんどん客足が少なくなったんじゃろうのぉ。」というような話をしつつ、家から徒歩15分の映画館に向かった。

話の内容は、西暦200年魏の曹操、蜀の劉備、呉の孫権、の三国が統一を目指し戦いを続けたの戦国時代、巨大勢力となり皇帝をも支配した曹操に対し、劉備、孫権両軍が力を合わせ赤壁で曹操に対向するという赤壁の戦いを題材にされている。

この映画で一番学べるところは、組織、個人が抱く大義名分、志の重要性だ。映画の中では曹操(悪役とされている)は孫権の武将周瑜の妻である絶世の美女小喬を手に入れたいという私的な野望を抱いているのに対し、劉備、孫権は民のために、民を守るために闘わなければならないという志を持っている。数では曹操軍が圧倒しているが、劉備、孫権軍は民を守るという大義名分の下集まった凄腕の武将が集まっており質で曹操軍を上回っている。決着はPART2へ持ち越しだが、大義名分、志の差が戦いの結果となっていくだろう。

PART2は中国では恐らく1月ごろ、日本では4月に公開の予定だ。公開と共に見に行きたい。

上海の国際食品展示会

中国最大の食品展示会FHCChina2008を見学してきた。アメリカ、カナダ、メキシコ、イギリス、フランス、スペイン、イタリア、キプロス、ドイツ、ベルギー、アイルランド、ニュージーランド、オーストラリア、スリランカ、エクアドル、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、韓国、台湾、香港、中国、そして日本。世界中の国の食品メーカーが上海新国際展覧中心に会した。

大学生だった2005年愛知万博を見学した時、世界中の国のパビリオンを各国のハンコを集めながら周り、世界にはこんなに知らない国があるのか。と驚いたが、今回の食品展示会も多くの国を一気に体感でき、食の万博だな!と思った。

日本のコーナーには、農林水産省の呼びかけで集まった全国の食品メーカー(お酒、お菓子、海鮮、お茶、味噌、ソースなどなど)のブースが並んでいた。来場者はただの試食目的という人が多かったように見えたが、とにかく規模が大きい展示会場で世界中のメーカーが参加しているので、有力なバイアーがいる確率も高そうだ。

欧米諸国、アジア諸国のブースを回り、日本ブースに来てハマチのお刺身などいくつかの食材を試食させてもらいやたら落ち着きを感じたのは、やはり日本で産まれた自分には日本食が合うなと感じると同時に、中国でこれらの食材を食べる人は、自分のような“慣れ”から来る食欲ではなく安全性なのか、薄めの味わいなのか、値段なのか、何を求めこれらの食材を購入するのかが大変気になるところだ。これまで日本の食材を中国へという2国の関係に関心があったが、欧米、アジア諸国も日本同様に国を挙げて中国市場を目指しているようで、食ビジネスでも世界の市場となっていく中国を感じられる。

見学後、日本に一時帰国するため浦東空港へ向かった。この展示会場は浦東空港とリニアモーターカーで直接つながっている龍陽路という場所にありとても便利だった。15時15分に展示会場を出て、15時30分の浦東行きリニアモーターカー(40元)に乗ると15時37分には浦東空港に到着できた。自分以外にも世界各国から来たビジターも、この便利さには驚いたのではないだろうか。2010年の上海万博に向けて、世界からお客さんを呼び込む準備は着々と進んでいるようだ。

17時35分の広島行き飛行機に乗り、1時間50分後広島に到着した。リニアモーターカーに飛行機、交通の発達のおかげで広島が本当に近く感じられる。到着後広島空港から広島駅行きのバスに乗ると「今日は六本木一日歩き回ったんよぉ~。(東京に出張のとある女性)」と、横から聞こえてくる広島弁を聞き心がほっとした。

2008年12月4日